大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和58年(行コ)29号 決定

行政事件訴訟法一九条一項によれば、取消訴訟を提起した原告は、口頭弁論の終結に至るまで、同法一三条に定める関連請求に係る訴えを右取消訴訟に併合して提起することができるが、この場合において当該取消訴訟が高等裁判所に係属しているときは、同法一六条二項の規定が準用され、関連請求に係る訴えの被告の同意を得なければならないものとされている。このように関連請求に係る訴えの被告の同意を要するとされているのは、関連請求に関して被告の有する審級の利益を侵害しないためであるところ、関連請求に係る訴えの控訴人(被告)である相手方は本件損害賠償請求の追加的併合の申立てに同意しない。

申立人は、本件のように関連請求に係る訴えの被告の審級の利益が害されない場合には、同意がそもそも不要であるか、仮に必要であるとしても同意しないことは同意権の濫用になる旨主張するが、本件取消訴訟と本件関連請求訴訟の争点につき申立人指摘のような共通部分が存することを考慮し、また非共通部分の主張立証につき申立人主張のような事情が存在するものと仮定しても、本件が関連請求に係る訴えに関する被告の審級の利益が害されない場合であるとはいえないし、また相手方の不同意が同意権の濫用にあたるということもできないから、申立人の右主張は理由がなく採用することができない。

そうだとすれば、本件追加的併合の申立てはその要件を欠く不適法なものであり、右併合申立てが単純併合の場合であると、予備的併合の場合であるとに拘らず、右申立ては許されないものといわなければならない。

本件損害賠償請求の追加的併合の申立ては、それ自体損害賠償請求の新訴提起としての要件を具えており、これを独立の訴え提起とみることができるので、民事訴訟法三〇条一項によりその管轄裁判所である東京地方裁判所に移送するのが相当である。

(鈴木 加茂 梶村)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!